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渡邉 憲夫; 平野 雅司
Journal of Nuclear Science and Technology, 29(12), p.1212 - 1223, 1992/12
1976年から1990年の間に、米国のPWRで発生した原子炉停止時の崩壊熱除去(DHR)機能喪失事象197件に関して、事例の分析を行った。このうち、約3分の1(63件)は原子炉の水抜き状態下で発生しており、その多くは、原子炉水位の下げすぎ、一次冷却材の流出、ポンプ流量の増加等によるDHRポンプの空気巻き込みが原因となっている。DHR機能の喪失が長時間にわたり、一次冷却材の沸騰が起こった事象もある。また、本報では、水抜き状態時の12事例について、実際の事象から得られたデータに基づいて、一次冷却材の温度上昇率と沸騰が起こるまでの時間を評価した。4件の沸騰事例については、DHR機能が喪失している間に冷却材の沸騰が起こったことを確認した。また、原子炉停止後長期間たって(例えば、停止後30日)DHR機能が喪失した場合でも、1時間以内に冷却材沸騰が起こることを示した。
渡邉 憲夫; 平野 雅司; 及川 哲邦
JAERI-M 91-143, 173 Pages, 1991/09
本報告書では、原子炉停止時における崩壊熱除去機能の喪失に関する事例の分析結果を報告する。収集した事例は、PWRが206件(対称期間:1976年~1990年)、BWRが48件(同:1985年~1990年)である。事例収集にあたっては、米国の設置者事象報告(LER)やOECD/NEAの事象報告システム(IRS)等を参照した。米国PWRで発生した197件の事象を分析した結果、原子炉停止時に崩壊熱除去機能が喪失した事例の多くは、(1)余熱除去系(RHR)ポンプの吸込/隔離弁の閉止、(2)水抜き運転状態時のRHRポンプの空気巻き込み、(3)RHRポンプの駆動力喪失、のいずれかが直接的な原因となっている。また、その背後にある根本原因を分析すると、手順書の不備や運転員/作業員の誤操作等の人為的な要因が支配的となっている。一方、米国BWRで発生した48件の事象については、運転員/作業員の誤操作に起因する吸込/隔離弁の閉止によるものが最も多い。